2005
|草案<全文>
鳩山由紀夫(全文)
HATOYAMA Yukio
「鳩山由紀夫 新憲法試案」
2005年2月21日
鳩山由紀夫『新憲法第試案―尊厳ある日本を創る』(PHP研究所、2005年)所収。
前文
この憲法は、明治二十二年憲法によって創始された議会主義と政党政治の伝統を受け継ぎ、昭和二十二年憲法によって確立された国際協調と平和主義の理念をさらに発展的に継承するものである。
私たちは、人間の尊厳を重んじ、平和と自由と民主主義の恵沢を全世界の人々とともに享受することを希求し、世界、とりわけアジア太平洋地域に恒久的で普遍的な経済社会協力および集団的安全保障の制度が確立されることを念願し、不断の努力を続けることを誓う。
私たちは、自立と共生の精神に基づいて友愛の国づくりを目指す。すなわち、この国の長い歴史に培われた伝統と文化を受け継ぎ、豊かな自然環境と美しい国土を守り、後世に伝えるよう努める。また、補完性の原理による秩序の下で、地域の自治と自立を最大限に尊重するとともに、地球的視野に立ち、全世界の人々と友情と智で結ばれた、尊厳ある国づくりを共に進めることを念願し、ここに新しい日本国憲法を制定する。
第1章 総則
第1条〔主権及び政体〕
日本国の主権は、日本国民に存する。
2 日本国は、国民統合の象徴である天皇を元首とする民主主義国家である。
3 日本国民の要件は、法律で定める。
第2条〔人間の尊厳及び基本的人権の不可侵〕
人間の尊厳は不可侵である。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利であり、日本国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。
第3条〔最高法規〕
この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
第4条〔憲法遵守の義務〕
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し遵守する義務を負う。
第5条〔国旗、国歌、元号〕
国旗、国歌、元号は、法律で定める。
第6条〔公用語〕
日本国の公用語は、日本語である。
第2章 天皇
第7条〔皇位〕
皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定める継承順位に従い、皇統に属する男子又は女子が継承する。
第8条〔天皇の任命権〕
天皇は、国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する。
2 天皇は、内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
3 天皇は、国会、内閣総理大臣及び最高裁判所の指名に基づいて、憲法裁判所の裁判官を任命する。また憲法裁判所の裁判官の互選による指名に基づいて、その長たる裁判官を任命する。
第9条〔天皇の国事行為〕
天皇は、内閣の助言と承認により、左の国事に関する行為を行う。天皇の国事に関する行為の責任は内閣が負う。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 国賓を接遇すること並びに友好親善のため諸外国を訪問すること。
十一 儀式を行うこと。
2 天皇は、法律の定めるところにより、国事に関する行為を委任することができる。
3 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。
第10条〔財産授受の制限〕
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。
第3章 国民の権利及び義務
第11条〔自由・権利の保持義務、濫用禁止、利用の責任〕
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また、国民は、これを濫用することなく、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。
第12条〔個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重〕
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第13条〔法の下の平等、貴族制度の否認、栄典の限界〕
すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第14条〔公務員選定罷免権、住民投票及び国民投票への参加、投票の義務〕
公務員を選定し及びこれを罷免することは、国民固有の権利であり、すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。
2 国会議員及び基礎自治体の長又は議員その他の公務委の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。国民投票又は住民投票についても同様とする。
3 すべて国民は、公務員の選挙並びに国民投票及び住民投票に際しては、投票する義務を負う。
4 定住外国人の、地域自治体公務員の選挙及び住民投票への参加について、各地域自治体の憲章で定めるものとする。
5 投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人及び投票人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。
第15条〔請願権〕
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
第16条〔国及び地域自治体の賠償責任〕
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は地域自治体に、その賠償を求めることができる。
第17条〔奴隷的拘束及び苦役からの自由〕
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。また、犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第18条〔思想及び良心の自由〕
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第19条〔信教の自由、国の宗教活動〕
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 地方自治体及び国並びにその機関は、特定の宗教のための教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第20条〔集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密〕
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第21条〔名誉権、プライバシー権、情報アクセス及びコントロール権〕
何人も、個人としての名誉及び信用を侵害されない権利を有する。
2 個人の私生活に関する情報の収集、保管、利用及び流布は、本人の同意に基づいて、又は法律の定める正当な理由に基づいて、特定の目的のために公正に処理される場合以外には許されない。
3 何人も、自己に関して記録された情報及びその使用状況を知り、かつ当該情報の修正を求める権利を有する。
第22条〔情報公開請求権〕
何人も、法律の定めるところにより、地域自治体又は国の事務に関する情報の公開を求めることができる。
第23条〔居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由〕
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第24条〔学問の自由〕
学問の自由は、これを保障する。
第25条〔家族の尊重及び個人の尊厳と両性の平等〕
家族は、社会の基礎的単位として尊重されなければならない。
2 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
3 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない。
第26条〔生存権、国の生存権保障義務〕
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
3 国は、快適な住居を保障するよう努めなければならない。
第27条〔子ども、高齢者、障害者の権利〕
子ども、健康で良好な生活に必要な保護と配慮を受ける権利を有する。
2 高齢者は、その経験と知識が尊重され、尊厳ある生涯をおくる権利を有する。
3 障害者は、その自立並びに社会生活への参加及就業の権利を有する。
第28条〔生命倫理〕
医学生生命科学の分野においては、人の選別等を目的とする優生学的行為、人体又はその一部を営利の目的とする行為並びにヒトのクローニングは、これを禁止する。
第29条〔環境権及び環境保存義務〕
何人も、良好な環境を享受する権利を有する。
2 何人も、自然環境及び歴史的文化的遺産の保全に努め、共同体としての良好な生活環境を維持し、発展させる義務を負う。
3 地域自治体及び国その他の公的機関は、国民が良好な環境を享受するために必要な措置を講字なければならない。
第30条〔教育を受ける権利、教育の義務、義務教育の無償〕
何人も、生涯にわたり、能力に応じて、必要な教育を受ける権利を有する。
2 地域自治体及び国は、法律の定めるところにより、すべての国民が普通教育を受ける権利を保障する義務を負う。公立学校における義務教育は無償とする。
第31条〔労働の権利・義務、労働条件の基準、子ども酷使の禁止〕
すべて国民は、労働の権利を有し、義務を負う。
2 賃金、就業時間、休息その他の労働条件に関する基準は、法律で定める。
3 子どもは、これを酷使してはならない。
第32条〔労働者の団結権・団体交渉権〕
労働者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第33条〔財産権の保障〕
財産権は、これを保障する。ただし公共の利益のために、かつ法律の定める場合と条件に基づいて、損失に対する正当な補償が適切な時点で支払われるときは、この限りではない。
2 知的財産は保護されるものとする。
第34条〔納税の義務〕
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
第35条〔法定手続の保障〕
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他刑罰を科せられない。
第36条〔裁判を受ける権利〕
何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。
第37条〔逮捕に対する保障〕
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、裁判官が発し、かつ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第38条〔抑留・拘禁に対する保障〕
何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。また、何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法定で示されなければならない。
第39条〔住居侵入・捜索・押収に対する保障〕
何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十七条の場合を除いては、正当な理由に基づいて発せられ、かつ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、裁判官が発する格別の令状により、これを行う。
第40条〔拷問及び虐待な刑罰の禁止〕
公務員による拷問及び虐待な刑罰は、絶対にこれを禁止する。
第41条〔刑事被告人の諸権利〕
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
2 刑事被告員は、すべての証人に対して審問する機会を十分に与えられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを付する。
第42条〔不利益な供述の強要禁止、自白の証拠能力〕
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
第43条〔刑罰法規の不遡及、二重刑罰の禁止〕
何人も、実行の時に適法であった行為又はすでに無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。また、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。
第44条〔刑事補償〕
何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。
第45条〔犯罪被害者の権利〕
犯罪行為による被害者又はその遺族は、法律の定めるところより、国の救済を受けることができる。
第4章 平和主義及び国際協調
第46条〔侵略戦争の否認〕
日本国民は、国際社会における正義と秩序を重んじ、恒久的な世界平和の確立を希求し、あらゆる侵略行為と平和への破壊行為を否認する。
2 前項の精神に基づき、日本国は、国際紛争を解決する手段としての戦争および武力による威嚇又は武力の行使は永久に放棄する。
第47条〔国際活動への参加〕
日本国は、国際連合その他の確立された国際的機構が行う平和の維持と創造のための活動に積極的に協力する。
第48条〔主権の移譲〕
日本国は、この憲法の定める統治の基本秩序に反しない限り、法律により、主権の一部を国際機構に移譲することができる。
2 日本国は、国際社会の平和と安定に寄与するため、集団的安全保障活動に参画するときは、法律により、主権を制限することができる。
第49条〔国際法の遵守〕
日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、誠実に遵守する。
第5章 安全保障
第50条〔自衛権〕
日本国は、自らの独立と安全を確保するため、自衛軍を保持する。
2 自衛軍の組織及び行動に関する事項については、法律で定める。
第51条〔内閣総理大臣の指揮統制権限〕
自衛軍の最高の指揮監督権限は内閣総理大臣に属する。
第52条〔国会の承認〕
内閣総理大臣が、自衛軍の出動を命ずるときは、法律の定めるところにより、国会の承認を必要とする。
第53条〔大量破壊兵器の不保持〕
核兵器、生物化学兵器をはじめとする大量破壊兵器は、開発し、製造し、保有することを禁ずる。
第54条〔徴兵制の否定〕
日本国民は、自衛軍への参加を強制されない。
第6章 市、圏及び国
第55条〔地方自治体の構成〕
地方自治体は、基礎自治体としての市、及び広域自治体としての圏で構成する。
第56条〔補完性の原理〕
市、圏及び国は、補完性の原理に基づき、住民の創意と自発に基づく自治活動を尊重し、その事務を分担する。
第57条〔市の権限〕
市は、この憲法の規定により国の専属的立法権限とされた事項を除くほか、その地域の事務に関する立法の権限を有し、当該事務を自主的に行う権能を有する。
2 市は、課税と徴税に関する自主権を有し、自ら必要な財源を確保することができる。
第58条〔圏の権限〕
圏は、国の専属的立法権限に属する事項を除くほか、域内各市の相互調整に関する事務その他その地域の事務のうち市が行うことができない事務に限り、立法の権限を有し、当該事務を自主的に行う権能を有する。
2 圏が、その任務を遂行するために必要とする財源は、圏議会が(域内各市の人口に応じて)割り当てるところに従い、域内各市が拠出する財政分担金によるものとする。
第59条〔国の権限〕
国は、国家の存立にかかわる事項、国家として対外的に代表しなければならない事項及び全国的な基準が必要な事項に関する立法の権限を有し、この憲法の条規に従い、その事務を行う。
第60条〔国の専属的立法権〕
左に掲げる事項は、国の専属的な立法権限に属する。
一 天皇及び皇室に関すること。
二 外交及び安全保障に関すること。
三 国会議員選挙に関すること。
四 司法並びに民事及び刑事に関する基本原則に関すること。
五 国の機関の組織及び財政に関すること。
六 通貨、公定歩合、公正取引の確保、金融、資本市場、貿易、物価の統制、工業規格、度量衡、知的所有権に関すること。
七 国籍、税関、出入国管理及び旅券に関すること。
八 海難審判、海上保安、航空保安に関すること。
九 基礎的な公的年金に関すること。
十 全国的な電波監理に関すること。
十一 医療従事者の資格に関する基準及び薬品の規制に関すること。
十二 国勢調査等の全国的な統計調査に関すること。
十三 国家賠償責任に関すること。
第61条〔競合的立法権〕
左に掲げる事項は、市及び圏と国の競合的立法権限に属する。
一 治安の維持及び大規模災害への対処に関すること。
二 税制に関すること。
三 教育に関すること。
四 公的保険及び生活保護並びに労働基準に関すること。
五 基本食糧の確保及び資源エネルギーの確保に関すること。
六 重要な文化財の保護及び環境の保全に関すること。
七 全国を対象とする骨格的かつ基幹的な交通通信基盤施設の整備及び管理に関すること。
八 全国的な気象事業に関すること。
九 郵便に関すること。
十 道路交通、海上交通及び航空交通に関すること。
十一 土地取引に関すること。
十二 伝染病に対する措置に関すること。
2 競合的立法の事項においては、国はその全国的な基準について定めるものとし、市及び圏は、国が法律において設定した全国的な基準について、それぞれの地域の特性に対応できるよう、その具体化を委任される。また必要に応じて基準等の付加、緩和することができる。
第62条〔国の財政調整責任〕
国は、地域自治体間の財源の格差を調整するため、必要な措置を講じなければならない。ただし、この憲法が定める権限に基づき、地域自治体が行使する自主性を損なう物であってはならない。
2 地域自治体は、国による地域自治体間の財政格差の調整に関して、必要な意見を述べることができる。
第63条〔係争処理〕
国と地域自治体又は地域自治体相互の係争は、憲法裁判所においてこれを処理する。
第7章 市及び圏の組織
第64条〔憲章の制定〕
市及び圏は、基本法としての憲章を定めるものとする。憲章では、この憲法が定める統治の基本原則に従い、その立法と行政の組織について定める。
2 憲章の制定及び改廃は、市議会又は圏議会の議員の三分の二以上の賛成による可決、又は議会の総議員の過半数の賛成による発議に基づく住民投票において有効投票の過半数の賛成による承認を得なればならない。
第65条〔市の立法〕
市の立法は、市議会が行う。
2 市議会は、予算を定め、決算を承認することその他市憲章が定める事項について議決する。
3 市議会は、市の行政が適正に行われることを確保するため、市行政に対する調査権を有する。
4 市議会の議員は、その市の住民が直接選挙する。
第66条〔市の行政〕
市の行政は、市行政委員会が行う。
2 市行政委員会の長を市長と称し、住民が直接選挙により選任する。
3 市長の任期は四年とし、同一の者が継続して十二年を越えて務めることはできない。
4 市行政委員会の委員は、市長が任免する。
第67条〔圏の立法〕
圏の立法は、圏議会が行う。
2 圏議会は、予算を定め、決算を承認することその他圏憲章が定める事項について議決する。
3 圏議会は、圏の行政が適正に行われることを確保するため、圏行政に対する調査権を有する。
4 圏議会の議員は、その域内に属する市がそれぞれの憲章に基づいて選出する。
第68条〔圏の行政〕
圏の行政は、圏行政委員会が行う。
2 圏行政委員会の長を圏知事と称し、圏議会議員の中から圏議会が任命する。
3 圏知事の任期は四年とし、同一の者が八年を超えて務めることはできない。
4 圏知事は、圏行政委員会の委員を任免することができる。ただし、圏行政委員会委員の過半数は圏議会議員でなければならない。
5 圏知事は、圏議会で不信任決議案が可決されたときは、十日以内に圏議会を解散しない限り、辞職しなければならない。
第69条〔住民投票〕
市及び圏の住民は、憲章の定めるところにより、住民投票により、その市及び圏の決定に直接参加することができる。
第70条〔監査、行政監視〕
市及び圏は、憲章の定めるところにより、発生主義に基づく公会計の制度を設け、あわせて議会が承認した第三者による会計監査機関を置くものとする。
2 市及び圏は、憲章の定めるところにより、その行政委員会の活動に関して、住民の申立てに基づいて調査し、議会に報告するとともに、行政委員会に対して必要な是正措置を講ずるよう勧告する行政監視機関を置くことができる。
第8章 政党
第71条〔政党〕
日本国民は、自由に政党を設立する権利を有する。
2 政党は、国民の政治的意思形成を支援する。
3 政党は、国民主権と民主主義の原則を尊重しなければならない。
4 政党たる要件は、法律によって定める。
第72条〔政党助成〕
国は、法律の定めるところにより、政党運営に必要な資金を補助する。
2 政党は、法律の定めるところにより、その政治活動に関する資金の収支を公開しなければならない。
第73条〔内閣総理大臣候補者の明示〕
政党は、国会議員総選挙に際しては、内閣総理大臣候補としての党首及びその施政の基本方針を明示して臨まなければならない。
第9章 国会
第74条〔国会の地位〕
国の立法権は国会に属する。
第75条〔一院制〕
国会は、全国民を代表する、選挙された議員で組織する一院で構成する。
2 国会議員の定数は、法律で定める。
第76条〔議員及び選挙人の資格〕
国会議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。ただし、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。
第77条〔国会議員の任期〕
国会議員の任期は四年とする。ただし、国会解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第78条〔国会議員の選挙〕
国会議員の選挙方法及び選挙区、その他国会議員の選挙に関する事項は法律で定める。
第79条〔議員の歳費〕
国会議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第80条〔議員の不逮捕特権〕
国会議員は、法律の定める場合を除いては、国会の開会中逮捕されず、休会中又は解散中に逮捕された議員は、国会の要求があれば、開会中これを釈放しなければならない。
第81条〔議員の発言表決の無答責〕
国会議員は、国会内で行った演説、討論又は表決について、国会外で責任を問はれない。
第82条〔通年国会〕
国会の会期は、四月一日から、翌年の三月三十一日までとする。ただし休会期間をおくことが出来る。
2 国会が解散された場合は当期の会期はその日をもって終了するものとし、総選挙後に召集された国会の会期は、その召集された日から三月三十一日までとする。
第83条〔総選挙〕
国会が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、国会議員の総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
第84条〔資格争訟〕
国会は、その議員の資格に関する争訟を裁判する。ただし、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第85条〔議事の定足数と過半数議決〕
国会は、その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
2 国会の議事は、この憲法に特別の定めのある場合を除いて、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第86条〔法律、予算、条約等の議決〕
法律案は、国会で可決したときに法律となる。
2 予算及び条約締結の承認には、国会の可決を要する。
第87条〔会議の公開と会議録〕
国会の会議は、公開とする。ただし、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
2 国会は、その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、かつ一般に頒布しなければならない。
3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第88条〔役員の選任及び議院の自律権〕
国会は、議長その他の役員を選任する。
2 国会は、会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、また、国会内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。ただし、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第89条〔憲法裁判所裁判官の指名〕
憲法裁判所裁判官の指名には、出席議員の三分の二以上の多数による議決を要する。
第90条〔議院の国政調査権〕
国会は、国政に関する調査権を有する。これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求するときは、総議員の三分の一以上の議員の賛成を要する。
第91条〔憲法裁判所への提訴〕
国会が、法律、条約、命令、規則又は処分について、その憲法適合性を判断するため、憲法裁判所に提訴するときは、総議員の三分の一以上の議員の賛成を要する。
第92条〔会計検査の要求〕
国会が、具体的な国の事業について、その予算の執行が適正に行われているかについて会計検査院に調査を求めるときは、総議員の三分の一以上の議員の賛成を要する。
第93条〔国務大臣の出席〕
内閣総理大臣その他の国務大臣は、国会に議席を有すると有しないとにかかわらず、何時でも議案について発言するため国会に出席することができる。または、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第94条〔弾劾裁判所〕
国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、国会の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。
第95条〔緊急事態宣言下における議員資格の特例〕
内閣総理大臣が国家緊急事態を宣言したとき、国会議員の任期が満了し、又は解散している場合には、内閣総理大臣がこの憲法及び法律の規定に従って国家緊急事態宣言を解除するまでの間、前任者の任期を延長することとする。
第10章 内閣
第96条〔行政権の帰属〕
国の行政権は、内閣総理大臣に属する。
第97条〔内閣総理大臣の指名〕
内閣総理大臣は、国会議員の中から、総議員の過半数の支持を得たものを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって行う。
第98条〔内閣の組織と責任〕
内閣総理大臣は、行政権を行使するため内閣を組織し、その構成員たる国務大臣及び内閣総理大臣を補佐するために法律で定められた官吏を任免する権限を有する。
2 内閣総理大臣は、施政の基本方針を定め、これについて責任を負う。国務大臣は、内閣総理大臣の施政の基本方針の範囲内において、独立してかつ自らの責任において、その所轄する事務を行う。
3 国務大臣の過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
4 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
5 内閣総理大臣は、事故あるときに備え、あらかじめその職務を代行する国務大臣を指名しておかなければならない。
6 内閣総理大臣は、行政権の行使について、国会に対して責任を負う。
第99条〔内閣総理大臣の職務〕
内閣総理大臣は、議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。
2 内閣総理大臣は、その施政の基本方針に基づき、行政各部を指揮監督する。
3 内閣総理大臣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行う。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 法律の規定を実施するために、政令を制定すること。ただし、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
第100条〔不信任決議と解散〕
内閣総理大臣は、国会で不信任決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときにのみ、天皇に国会の解散を助言することができる。ただし、十日以内に国会が解散されないときは、内閣総理大臣はその他の国務大臣とともに辞職しなければならない。
2 内閣総理大臣は、国会で、内閣総理大臣に対して国務大臣の罷免を要請する決議案が可決されたときは、第九十八条の規定にかかわらず、その国務大臣を罷免しなければならない。
第101条〔内閣総理大臣の欠缺又は総選挙施行による辞職〕
内閣総理大臣が欠けたとき、又は国会議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣総理大臣及びその他の国務大臣は辞職しなければならない。
第102条〔辞職後の職務続行〕
前二条の場合には、内閣総理大臣又は内閣総理大臣の職務を代行する国務大臣が、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
第103条〔法律及び政令への署名と連署〕
法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
第104条〔国務大臣訴追の制約〕
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。ただし、これがため、訴追の権利は、害されない。
第105条〔緊急事態への対処〕
内閣総理大臣は、国家の存立と国民の生命の安全が危殆に瀕する恐れがある事態に際しては、法律の定めるところにより、国家緊急事態を宣言し、必要に応じて緊急命令を発布することができる。
2 内閣総理大臣が、国家緊急事態を宣言したときは、十日以内に国会の承認を得なければならない。
3 国家緊急事態宣言に際しては、その区域を定め、その期限をあらかじめ明示しなければならない。
4 国家緊急事態宣言の有効期間は、最大三十日とする。ただし、国会の事前承認により、これを延長することが出来る。
5 内閣総理大臣は、国会が国家緊急事態を承認しなかったとき、又は国会が国家緊急事態の終了を議決した場合には、当該緊急措置を終了しなければならない。
第11章 国民投票
第106条〔内閣総理大臣の国民投票実施権〕
内閣総理大臣は、特に必要と認めるときには、法律案又は条約案について、その議決の前に国民投票に付することができる。 ただし、予算および租税に関する法律案については国民投票に付することはできない。
第107条〔国会の国民投票の要求権〕
内閣総理大臣は、国会の総議員の二分の一以上の議員の要求があるときは、法律案又は条約の承認について、その議決の前に国民投票に付さなければならない。
第108条〔国民投票結果の拘束力〕
国民投票に付された提案は、有権者の過半数が投票に参加し、有効投票の過半数の賛成を得たときに、可決されたものとする。
2 国民投票の方法その他必要な事項は法律で定める。
第12章 憲法裁判所
第109条〔憲法裁判所の違憲立法審査権〕
憲法裁判所は、条約及び法律が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する。
第110条〔地方自治体と国の係争処理権限〕
憲法裁判所は、地方自治体と国又は地方自治体相互の権限に関して、地方自治体の長又は内閣総理大臣から提訴があったときは、その当否を決定する権限を有する。
第111条〔違憲立法審査の対象〕
憲法裁判所は、左の場合に、憲法に適合するかしないかを審理し、決定する
一 条約及び法律の憲法適合性について、内閣総理大臣又は国会からの提訴があったとき。
二 地域自治体に関わる条約及び法律の憲法適合について、地域自治体の長から提訴があったとき。
三 具体的訴訟事件で裁判所から、憲法適合性について判断を求められたとき。
四 具体的訴訟事件で当事者が最高裁判所の憲法判断を不服として提訴したしとき
第112条〔憲法裁判所の判断の効力〕
前条各号に関する憲法裁判所の判断は、国民と地方自治体及び国のあらゆる機関を拘束する。
第113条〔選任方法、定員、任期〕
憲法裁判所の定員は九人とし、三人ずつをそれぞれ国会、内閣総理大臣、最高裁判所が指名する。
2 憲法裁判所の長たる裁判官は、互選により指名する。
3 憲法裁判所の裁判官の任期は六年とし、再任されない。
第114条〔憲法裁判所裁判官の資格、定年〕
憲法裁判所の裁判官は、識見の高い、法律の素養のある、年齢四十歳以上の者の中からこれを指名しなければならない。
2 憲法裁判所の裁判官は、満七十歳に達したときには退官しなればならない。
第115条〔規則制定権〕
憲法裁判所は、審理に関する手続、裁判所内部規律及び事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
第116条〔身分保障〕
憲法裁判所裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法にのみ拘束される。
2 憲法裁判所の裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。憲法裁判所裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。
3 憲法裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
第13章 司法
第117条〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕
司法権は、憲法裁判所が所管する事項を除き、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行うことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第118条〔最高裁判所の規則制定権〕
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第119条〔裁判官の身分の保障〕
裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。
第120条〔最高裁判所の構成、任期、定年〕
最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣総理大臣がこれを任命する。
2 最高裁判所の裁判官は、任期を十年とし再任を妨げない。
3 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。
4 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
第121条〔下級裁判所の裁判官〕
下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣総理大臣がこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。ただし、法律の定める年齢に達した時には退官する。
2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。
第122条〔対審及び判決の公開〕
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。
2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
第14章 財政
第123条〔財政国会中心主義〕
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない。
第124条〔健全な財政運営〕
国は、健全な財政の維持と運営に努めなければならない。
2 国の歳出は、公債または借入金以外の歳入をもって、その財源としなければならない。やむを得ず公債を発行し、又はは借入金をなすときは、事前に国会の承認を得るとともに、その償還についての計画を国会に提出し、承認を得なければならない。
第125条〔課税の要件〕
新たに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
第126条〔国費支出及び債務負担の要件〕
国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。
第127条〔予算の作成〕
内閣総理大臣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
2 内閣総理大臣が、多年度にわたる支出を要すると認める事業については、その年限を定め、継続予算として、国会の審議を受け議決を経なければならない。
第128条〔予備費〕
予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣総理大臣の責任でこれを支出することができる。
2 すべて予備費の支出については、内閣総理大臣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
第129条〔皇室財産及び皇室費用〕
すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
第130条〔公の財産の用途制限〕
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第131条〔国の会計および決算〕
国は、発生主義に基づく公会計の制度を設けなければならない。
2 国の収入支出の決算は、内閣総理大臣が、次の年度に速やかに国会に提出しなければならない。
第132条〔会計検査院〕
国の予算が適正に執行されているかを調査し、国の収入収支の決算を検査するために、会計検査院を置く。
2 会計検査院は、毎年国の決算を検査し、国会および内閣総理大臣に報告する。
3 会計検査院は、国会から調査を求められた事項について、改善を要すると認めるときは、速やかに国会に報告するとともに、内閣総理大臣に対してその改善を命ずることができる。
4 会計検査院の組織及び権限は、法律で定める。
第133条〔財政状況の報告〕
内閣総理大臣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。
第15章 改正
第134条〔主権、人権、国際に関する条項の改正〕
第1章から第5章までの条項の改正は、国会の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が発議し、国民投票により、有権者の過半数が投票に参加し、有効投票の過半数の賛成による承認を得なければならない。
2 この条による憲法改正案は、国会議員が提出する。
第135条〔統治機構に関する条項の改正〕
前条に定めるもの以外の条項の改正、次のいずれかの手続によらなければならない。
一 国会の総議員の過半数の賛成で、国会が発議し、国民投票により、有権者の過半数が投票に参加し、有効投票の過半数の賛成による承認を経る。
二 国会の総議員の三分の二以上の賛成で可決する。
2 この条による憲法改正案は、内閣総理大臣又は国会議員が提出する。
第136条〔天皇による公布〕
前二条により、憲法改正の承認又は可決があったときは、天皇は、国民の名で、直ちに公布しなければならない。
第16章 補則
第137条〔施行期日等〕
この憲法は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。ただし、第五十五条から第七十条までの条項にについては、公布の日から三年を経過した日から施行する。
2 この憲法を施行するために必要な法律の制定およびこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日の三箇月前に終了しなければならない。