2001

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草案<一部>

山崎拓

YAMASAKI Taku

「新憲法試案」1
2001年3月


日本国民は、日本国の最終意思を決定する主権者である。国政は、正当に選挙され、国民の信託を受けた代表者によって担われる。

日本国民は、世界の平和の維持に努め、積極的に国際貢献を果たす。日本国は独立を堅持し、国際社会の一員として平和主義を貫き、国家間の共存関係を追求する。

日本国民は、基本的人権が尊重され、活力に満ち、安心できる社会を目指す。権利は義務を伴い、自由は責任を内在する。自立した国民間の権利は、時に、公共の利益の観点から調整される。

日本国民は、共生の理念を重んじ、日本の歴史と伝統、固有の文化、美しい国土を大切に守り育て、自立した個人として社会に奉仕する精神を発揮する。

日本国民は、連帯してこうした「道義国家」の実現を誓う。
 
日本国の最高法規として、この日本国憲法を制定する。

第1章 国民と天皇

第1条 
日本国の主権は国民に存する。 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である。

第2条 
日本国民たる要件は、法律でこれを定める。 国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて、主権を行使する。

第3条
天皇の皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

第4条 
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣総理大臣の助言と承認を必要とし、内閣総理大臣が、その責任を負う。

第5条
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。

第6条
皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事行為を行う。この場合には、前条第1項の規定を準用する。

第7条 
天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。 天皇は、内閣総理大臣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

第8条 
天皇は、内閣総理大臣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行う。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 国を代表して外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行うこと。

第9条
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

※挿入すべき箇所についてはさらに検討を要する。

第◯条〔国旗及び国歌〕
国旗及び国歌は、法律でこれを定める。

第◯章 安全保障

第◯条 
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、自衛権を行使する場合を除き、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、永久にこれを放棄する。
日本国の主権と独立を守り、国の安全を保つとともに、国際平和の実現に協力するため、内閣総理大臣の最高指揮権の下、陸、海、空軍、その他の組織を保持する。

※内閣の章に追加。

第◯条 
非常事態の宣言は、法律の定めるところにより、期限を定めて内閣総理大臣が行う。

第◯条〔自由及び権利の保持責任〕
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また、国民は、これを濫用してはならず、常に公共の利益との調和を図らなければならない。

第◯条〔個人の尊厳〕
すべて国民は、個人として尊重される。 生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は、公共の利益に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重される。

第◯条〔居住・移転の自由、国籍離脱の自由〕
何人も、公共の利益に反しない限り、居住移転の自由を有する。 すべて国民は、外国に移住し、または国籍を離脱する自由を有する。

第◯条〔私的な経済活動の自由〕
何人も、公共の利益に反しない限り、私的な経済活動を自由に営む権利を有する。

第◯条〔財産権〕
財産権は、これを犯してはならない。
財産権の内容は、公共の利益に適合するように、法律でこれを定める。
私有財産は、相当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

第◯条〔憲法・法令遵守義務〕
すべて国民は、憲法及び法律を尊重し遵守する義務を負う。

第◯条〔環境権、環境を保全する義務〕
何人も、健康かつ快適な環境を享受する権利を有し、その保全に努める義務を負う。
国は、環境の保全及び改善に努めなければならない。

第◯条〔プライバシーの保護〕
何人も、名誉、信用その他人格を不当に侵害されない権利を保障される。
何人も、自己の私事、家族及び家庭にみだりに干渉されない権利を有する。
通信の秘密は、これを犯してはならない。

第◯条〔知る権利〕
何人も、法律の定めるところにより、国及び公共団体等に対して、その事務に係る情報について、開示を求めることができる。

第◯条〔文化等を保護する義務〕
国は、景観及び歴史的、文化的、芸術的財産の保護、育成を図らなければならない。

第◯条〔職業選択・営業の自由〕
何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択及び営業の自由を有する。

第◯条〔適正手続き〕
行政手続きは適正でなければならない。

第◯条〔国家の安全を守る義務〕
国民は、法律の定めるところにより、国家の安全に寄与する義務を負う。

第◯条〔政党〕
全ての国民は、自由に政党を結成することができる。
政党の目的、行動および機構は、民主主義の諸原理に合致しなければならない。

第◯条〔内閣〕
行政権は、内閣総理大臣に属する。

第◯条 
内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
内閣総理大臣は、行政権の行使について、国会に対し責任を負う。

第◯条 
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、承認を受けた閣僚の過半数は国会議員の中から選ばなくてはならない。
内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

第◯条 
内閣総理大臣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、内閣を総辞職しなければならない。

※再掲。

第◯条 
非常事態の宣言は、法律の定めるところにより、期限を定めて内閣総理大臣が行う。

第◯条〔財政の健全〕
国及び地方自治体は、健全な財政の維持及び運営に努めなければならない。

第89条〔公の財産の支出又は利用の制限〕
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

第◯条〔地方自治〕
地方自治は、地方自治体及びその住民の自立と自己責任を原則とする。

第◯条 
地方自治体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の原則に基いて、法律でこれを定める。

第◯条 
地方自治体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
地方自治体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方自治体の住民が、直接これを選挙する。
地方自治体の長の任期は、法律によって定めることができる。又、多選の制限を設けることができる。

第◯条 
地方自治体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の趣旨の範囲内で条例を制定することができる。

第◯条〔改正手続き〕
この憲法の改正は、改正案について、各議院の総議員の過半数の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、直ちにこれを公布する。